うわああ惚れたあああああ

うわああ惚れちゃったあああ恋だあああ
15歳の時以来の5年ぶりの恋だよぉぉぉぉぉ


アルバイト先のコンビニに来るお客さんに恋をしてしまった。
名前すら知らない。だってTポイントカードに書いてないんだもの。
どうして惚れたのかすら定かでない。オープンから顔を見ていた人で、一時までは普通の顔なじみのお客さんだったことは覚えている。

あ、ひとつ覚えてた。
おでんに継ぎ足す汁を作り終えた後水道の蛇口を冷水のほうに回すのを忘れたまま熱湯で手を洗い、あまりの熱さに「アオォ!」と思わず奇声を上げて両手をブンブン振りまわしていた2月の暮れの夜。ふと背後から感じた視線に振り替えると、レジ台にコーラをおいて実に神妙な顔つきでこちらを見ているあの人がいた。

静まり返った日曜夜のコンビニ、店内にいるのはあの人と私一人。あんまりブンブン振り回しまくっていたので、気恥ずかしさとお湯がかからなかったか心配な気持ちでいたのを覚えている。


あの人を心配する気持ちは、あの人が来るとふと安心する気持ちを経て、ゆっくりと恋に変わったように思う。


あの人が好きだ。理由は全くわからない。
どんな性格なのかもわからない。よく車の雑誌を見ているので車が好きなのだろう。それが趣味なのかはわからない。
イケメンではない。例えるなら楳図かずおをちょっと若くした感じ。
どこでどんなことをして働いているのかもよくわからない。コンビニはオフィスビルの一階にあるので、たぶん上の階で働いているのだと思う。
そもそもおじさんだ。家庭を持っていてもおかしくない。

どこを見渡しても、見事にないないづくし。

店に来ない期間が一月ほど空くこともある。そんな毎日が続くたびに、私はいっそ忘れてしまうか脳内彼氏にして妄想の存在にして楽になってしまおうと決意する。すると、タイミングでも見計らっているようにふいとやってきて、時々私に話しかけたりしてくれる。

ある時勇気を出して「またいらしてくださいね」と言ったことがある。
「毎日来てるよ」とさらっと返された。

私がいるときに来てほしい…

なんだかもう何で惚れているのかわからない。もっと世界には魅力的な男の人がいるはずなのに。
でもあの人がいい。
あの人と手をつないでどこかを散歩することを想像するだけで、嬉しくてたまらないような気持ちになる。
他の人ではそうはならない。どんなにハイスペックで、周りの人が羨むような人を隣に思い浮かべてもあの人にはかなわない。


何でなのか、何なのかわからない気持ちに翻弄されてばかりだ。この問題を解決する糸口は、何となくもやもやと想像していることを現実にしてしまうこと、相手に気持ちを伝えることだと思う。


そんなわけでラブレターを書きます。何書いていいのか、さっぱりわからないけれど。